ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
社会人になってから英語のやり直しを考える人は、たくさんいらっしゃるはずです。
実際、私はこれまで本当に多くの生徒さんとご一緒してきましたが、みなさん仕事上の理由で英語をやり直している社会人の方々です。
英語のやり直しを考える人の中には、「中学英文法からあやしい」という人もいるでしょう。
本記事では、英語のやり直しを考える大人を対象に、参考書や勉強法、おすすめの資格試験など、英語のやり直しについてご紹介します。
ぜひご覧ください。
・英語に対するアレルギー、苦手意識が強い方
・TOEICスコア450点以下の方
・ゼロから英語をやり直したい方
目次
社会人の英語やり直しは、何から始めるべきか
まず、英語やり直しの基本的な考え方、全体像をご紹介します。
「大人になって英語をやり直す必要が出てきた、でも何から始めていいのかわからない。英語なんて苦手だし」という人は、以下の手順を参考になさってください。
まずは中学英文法からやり直し
まず文法からやり直しましょう。中学英文法からです。
「中学英文法くらいわかる。自分はそこまで落ちぶれていない」という人でも、サラッとで結構です。ぜひ中学英文法から見直してみてください。
「中学」という名称には抵抗があるかもしれません。
ですが、文法で大事なことは、ほとんど中学英文法のなかに含まれています。
単語は文法がある程度軌道に乗ってから
「やり直し英語は、単語帳からじゃないの?」と思われるかもしれません。
ですが、まずは文法からです。
入門・初級レベルの単語は、英文法の学び直しをするなかで出てくる単語を覚えれば十分です。
単語帳は、文法の学習がある程度軌道に乗ってから使いはじめましょう。
中学に入学して、いきなり英単語帳を必死に勉強した人はいないはずです。まずは文法から始め、文法を学ぶ中で出会った単語を同時に覚えていったかと思います。
この「文法学習がある程度軌道に乗ってから単語帳を使い始める」手法は、理にかなっていると、私自身の経験からも断言できます。
これまで私は英語を含め、3つの外国語を本気で勉強した経験がありますが、いずれの場合もまず文法から始め、文法学習が軌道に乗ってから単語帳を使い始める、という手順でした。
その手順で全く問題ないどころか、「効率的に学べた」という実感があります。
やり直し英語でも、しばらく単語帳は置いておき、文法をどんどん進めていきましょう。
音読は絶対に必要
音は英語だけでなく、あらゆる言語において重要な要素です。
文法と単語だけでなく、英語やり直しの過程では「音」を意識した学習をぜひ心掛けてください。
英語への苦手意識が強い方へのおすすめは、英文の音読です。
シャドーイングも優れた学習法ですが、まずはシャドーイングなどより手軽にでき、心理的なハードルも低い音読から始めてください。
黙読ではなく、必ず音読をすることを習慣にしましょう。
大人のやり直し英語:おすすめの参考書
全体像を確認したところで、やり直し英語におすすめの参考書をご紹介します。
文法
おすすめは英語のハノンです。
英語のハノンは、単なる文法書ではなく、スピーキング強化にまでつながる最強の教本です。
学生時代、「文法用語が苦手なんだよな」と感じていた人は、私の生徒さんにもとても多く、それがきっかけで英語嫌いになったという経験談を何度も聞いてきました。
ですが、私たちの脳は年齢とともに成長しています。社会人になった現在、多くの人の論理的思考力は中学時代を圧倒的に上回っているはずです。
たとえ昔、文法用語が苦手だったとしても、今はハノンの英文法解説がスッと頭の中に入り、理解できるでしょう。
というわけで、英語のハノンが超おすすめです。
とはいえ、です。実際に英語のハノンを読んでみると「やはり文法用語は苦手だ」と感じる人もいるかもしれません。そんな場合、無理をしてハノンに取り組む必要はありません。
どうしても「文法用語が苦手」という方には、中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。をおすすめします。イラストなども含め、本当にとにかく読みやすい書籍です。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。を終えたら、高校英文法をひとつひとつわかりやすく。に進みましょう。
これで文法の基礎はカバーできます。
注意すべきポイントは品詞と文型
文法をやり直す際には、品詞と文型に注意を払ってください。
品詞がわかっていないと、英語はまともに読むことすらできません。
品詞の識別ができていることが、文型を理解する大前提になります。Sは名詞、Vは動詞、Oは名詞、Cは名詞と形容詞です。
こういった基本中の基本がわかっていないと、文頭の「前置詞+名詞」(前置詞句)を、「主語」だと勘違いしてしまいます。
中学時代、このような品詞や文型は、他の文法項目と同じように、サラッと解説して終了という扱いだったはずです。
ですが、品詞と文型は他の文法項目と比べても圧倒的に重要です。
本来、他の文法項目より多くの時間をかけて、品詞と文型を丁寧に説明すべきなのですが、今も昔も英語教育の中での扱いは変わりません。
英語のハノンを強くおすすめするのも、英語のハノン初級編の冒頭に品詞の重要性についての記述があり、文型についての説明も非常に丁寧なためです。
文章がどんなに複雑になっても、英語を読む・聞く・書く・話す、英語4技能の一番の基本になるのが品詞と文型です。
ぜひそれを意識しながら英語をやり直していきましょう。
単語
単語帳は何を目標にするのか、現在の自分の語彙レベルがどのくらいなのかなどの要素を考えて決めるべきです。
ですので、「これがおすすめ!」という絶対的な単語帳はありません。
英語のやり直しで、かつ、TOEICを1つの目標にするのであれば、以下の教材がおすすめです。
TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ
TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ
キクタンシリーズもとても良いと思います。
これらの教材に掲載されている単語が難しいと感じる場合、またはTOEICは関係ないという場合には、別の単語帳を使用しても全く問題ありません。具体的には以下のような単語帳です。
本当にゼロからやり直したいという場合には、入門レベルの英単語が掲載されている速読英単語の中学版などから始めるのが良いかと思います。
速読英単語の中学版が簡単すぎる場合には、同じく速読英単語シリーズの速読英単語入門編や、速読英単語必修編からでも構いません。
レベルに応じて選ぶこと、そして簡単すぎず、難しすぎない単語帳を選んでください。
単語帳だけでなく参考書を選ぶ際には、大型書店などで手に取ってみて、実際に中身を確認し、自分に合っているというものを選びましょう。
音読
英文法がある程度進み、単語帳も順調に進んでいるのであれば、ぜひ音読も始めてください。
入門・独学でも英語が話せる3分間パワー音読トレーニングや、みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニングなどは、やり直し英語の音読用教材としておすすめです。
英語だけでなく外国語学習には、音の要素は不可欠です。
実際に自分の口や耳を使ってトレーニングすることが必須ですので、最もハードルが低い音読から始めていきましょう。
瞬間英作文
英文法を学んで、理解しても、それを使えなければ意味がありません。
ですので、文法をある程度学習したら、どんどん話すための瞬間英作文トレーニングのような瞬間英作文の教材を使って、「自分で文章を作る」トレーニングをぜひ行ってください。
「英語を読んで、または聞いて理解する(インプット)」と、「実際に自分が文章を組み立てる、話す(アウトプット)」というのは、必要とする回路が異なります。
話すため、アウトプットをするために、瞬間英作文の教材を活用していきましょう。
ただし、文法のおすすめ教材としてご紹介した英語のハノンに関しては、書籍のなかに瞬間英作文のようなアウトプットトレーニングの要素まで含んでいます。
ですので、ハノンを使う人は、瞬間英作文の教材を別途購入する必要はない、というのが私の意見です。
発音
発音に関しても、おすすめの教材をご紹介します。
「これを使って練習してください」という教材ではないのですが、英語リスニングのお医者さんは、参考書として持っていて損はない書籍です。
英語には、連結・同化・脱落・弱形などの音声変化が存在します。
それらについて詳しい解説とトレーニング問題を掲載しているのが、英語リスニングのお医者さんです。
読むだけでも参考になるものですので、興味がある方は、ぜひご覧ください。
大人のやり直し英語:勉強法&注意点
参考書をご紹介したあとは、それをどのように使うのかという勉強法や注意点についてご紹介します。
反復あるのみ
文法、単語、音読、瞬間英作文などの教材をご紹介してきました。
これらの教材を進める際、共通するポイントがあります。
「1回読んで、1回取り組んで終わり」という勉強法は、避けてください。必ず同じ参考書を反復しましょう。
1回読んで文法を理解できたり、単語を覚えられたり、瞬間英作文が問題なくスラスラできる人は、私が知る限りいません。
1冊取り組み始めたら、その参考書に5周以上取り組むようにしてください。
教材を頻繁に変えない
やや内容が重複しますが、英語のやり直しに限らず、たくさんの教材に手を出すより、1つの教材を「完ぺき」といえるレベルまで仕上げることが重要です。
その1つの基準が上で述べた「1冊につき5周以上」になります。
中学レベルの英文法からのやり直しでも、1冊目を完ぺきにしてから次の教材に進みましょう。
文法・単語・音読など、それぞれの分野で多くの教材に手を出すのは避けるべきです。
その意味で、最初の教材をどれにすべきかの選択が重要になってきます。
毎日取り組む
英語だけでなく外国語学習は、毎日取り組むことが重要です。
平日は何もやらない週末にだけ取り組む、という勉強法は避けましょう。
たとえお仕事などで学習時間が短くなってしまっても、毎日英語に触れるようにしてください。
TOEICと英検はやり直し英語にもおすすめの資格試験
資格試験は英語学習のモチベーションになります。
社会人が英語のやり直しに取り組む場合、TOEICまたは英検がおすすめです。
性質が異なる試験ですので、英語をやり直す目的に応じて、どちらにするのかを選択してください。
ビジネスのためならTOEIC
英語やり直しの目的がビジネスという方は、やはりTOEICが資格試験としてはおすすめです。
日本のビジネスパーソンであれば知らない人はいない試験ですし、社内評価や就職・転職などで、指標として使われていることは言うまでもありません。
これほどメジャーなビジネス英語試験はTOEIC以外にはなく、今後しばらくは、TOEICに取って代わるビジネス英語検定が登場する可能性も非常に低いと思います。
ですので、仕事で英語を使う、または使いたい、という学習者であれば、やはりおすすめはTOEICです。
生涯学習や移住のためなら英検
英語やり直しの目的は、ビジネスとは限りません。
これから海外に住むという人や、生涯学習のために英語を勉強したいという人もたくさんいるはずです。
目的がビジネスではない場合、TOEICだけでなく英検も非常におすすめの資格試験になります。
英検は、昨今大学受験でも大いに活用されており、リーディングやリスニングだけでなく、リーディングやスピーキングの試験もあります。
英語4技能をバランス良く伸ばすことができる優れた試験です。
また、TOEICは語彙や文章など、話題がビジネスに特化していますが、英検は口語からEメール、アカデミックな内容など、扱う内容が多岐にわたるのが特徴です。
4技能をバランス良く、そして内容にも偏りなく、総合的に英語力を伸ばしたいという方には英検がおすすめです。
大人の英語やり直しは「目的」と「必要性」を整理してから始める
英語のやり直しを考える場合、勉強を始める前に、改めてじっくりとやり直しの「必要性」と「目的」について考えてみましょう。
本当に人生の貴重な時間を使ってでも、英語を勉強し直す必要があるのかをよく考えてみてください。
明確な「目的」と「必要性」が英語やり直しには不可欠
「仕事で英語を使う必要が出てきたので英語をやり直したい」または「英語圏に住む予定なので、やり直したい」という場合には、やり直しの目的は非常に明確です。
もうそれは他に選択肢がありませんので、目的について迷う必要はなく、ぜひ勉強を始めてください。
問題は、「日常で英語を使う必要はなく、今後もなさそうだけれど、英語ができたら良いな」という場合です。
個人的な意見ですが、こういった「必要はないが、できたらいいな」というレベルですと、英語には手を出さない方が良いと思います。
本気で英語をやり直す場合、信じられないくらいの時間と労力を英語に費やすことになってしまいます。
仕事上や生活面での「必要性」がある場合にしか英語をやる意味は見いだせないというのが、長く英語と関わってきた私の結論です。
目的が明確でないまま英語に手を出すことはせず、その貴重な人生の時間を、他の分野の学習に充てることを強くおすすめします。
まとめ
本記事のまとめです。
- 中学英文法からやり直す
- 単語帳は英文法のやり直しが軌道に乗ってから始める
- 音読も必須
- 参考書は1回読んで終わりではなく、何周も反復する
- 頻繁に教材を変えない
- 少ない時間でも良いので、毎日英語に取り組む
- ビジネスならTOEIC、移住や生涯学習なら英検がおすすめ
- 英語のやり直しは「目的」と「必要性」がある人がやるべき
「英語をやり直したい!」という方を心から応援します。
私も皆さんと同じように、日本国内で学ぶ学習者です。
今後も英語をやり直したい人向けに記事を書いていく予定です。今後もぜひご覧ください。