私たちはノンネイティブです。
英会話では、過剰に「ネイティブっぽさ」を求めるより、まずは会話を成立させましょう。
そのためには、日本語話者が苦手な文法は、可能な限り避ける必要があります。
目次
スピーキングのコツは難しく考えすぎないこと
私は都内で英語スピーキング強化ジムENGLISH LAB.を運営しています。
生徒さんの大半は、外資系企業や日系大手企業で英語を使った仕事をされています。
本記事は次のような学習者の方に向けて書いています。
・TOEIC800~990点(またはそれと同等の英語力)
・読むのは問題ないが、話すのは苦手
それでは、見ていきましょう。
日本語話者が苦手な英語の文法をなるべく避ける
私は英語圏に留学したことはなく、もちろん帰国子女でもありません。
親に幼い頃から特殊な英語教育を受けさせられた経験もありません。英語は中学1年のときにABCからスタートしました。
アルファベットの前半は知っていても、L~Zまでの順番は知りませんでした。
そんな私も現在は、「TOEICの点数は高いが、話すのは苦手」な生徒さんのスピーキング力を強化するためのトレーニングを日々行っています。
その中で日々感じていることの1つには「英語の中には日本語話者が苦手な文法がある」ということです。
そして、日本語話者が英語を話すときは、そのような表現を可能な限り避けるべき(代替表現を使用すべき)だということです。
例を見ていきましょう。
無生物主語はスピーキングでは避けた方がいい
日本語話者が苦手とするネイティブっぽい英語表現は数多くありますが、例えば「無生物主語」です。
3. Adopting English as the official language will change our education.
(英語を公用語として採用することは、私たちの教育を変えるだろう)
日本語訳は、あえて直訳風にしました。くどい言い回しです。
英語で会話する際、上のような文章がとっさに思い付く人は、ほとんどいないはずです。
理由は単純で、「日本語ではそんな風に言わないから」です。
私たちは母語である日本語から制約を受けているので、この英語を「くどい言い回し」だと感じるのです。
上の3つの文章を日本語話者に合った文章に変換してみましょう。
→ Thanks to chatbots at stations, we can find information and directions we need.
(駅にあるチャットボットのおかげで、私たちは必要な情報を見つけることができる)
→ Thanks to YouTube, we can get away from our busy lives.
(YouTubeのおかげで、私たちは忙しい生活から逃れることができる)
→ If we adopt English as the official language, our education will change.
(英語を公用語として採用すれば、私たちの教育は変わるだろう)
無生物主語を使っていない、太字の表現のほうがわかりやすい(自分で文章を作りやすい)はずです。
理由はシンプルで、「日本語と語順が同じだから」です。
日本語と語順が同じなので、自分の頭で瞬時に文章を組み立てる際の負荷が小さいのです。
「自分で文章を作りやすい」ということは、こちらの方が日本語話者が会話でとっさに使う表現としては向いている、ということです。
会話では、無生物主語は使わず、できる限りそういった代替表現を使用すべきです。
"as 形容詞(副詞) as..." もしんどいので、英会話では積極的には使わない
(月は太陽より小さい)
「なぜ形容詞(副詞)を挟むのか」と、中学の時に疑問に思ったのは私だけではないはずです。
これは、次のようにすると、日本語話者にとってラクな表現になります。
(太陽と比べると、月は小さい)
"compared with..."を使うと、日本語と同じ語順にすることができますし、形容詞(副詞)を挟む必要もありません。
このように、英語は日本語と大きく異なる言語なので、可能な限り、日本語話者にとって負担の小さい表現を使いましょう。
「日本語から制約を受けている」ことを前提に考える
英語の先生や英語が上手な人の中には、「英語は英語で考えろ」「そんな英語は自然ではない」というようなことを言う英語講師もいます。多くはネイティブ講師や帰国子女、長期留学経験者です。
気持ちはわからなくもありませんが、自分の生徒が日本語を母語とし、日本で生活している事実を忘れてはいけないと思います。
私も英会話の際には英語で考えていますが、実際にはそう思い込んでいるだけで、無意識に母語である日本語からの制約は受けているはずです。
日本語話者である以上、必ず受ける縛りというものが存在します。
それは恵まれた環境で英語を習得した帰国子女にとっては、特に想像しにくいはずです。
英語と日本語との発想の違いを踏まえ、私たちは私たちに合った英語の話し方を模索していく必要があるのです。