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ENGLISH LAB.代表の糸賀です。

私は、これまで自分が運営するスクールで、多くの生徒さんに独学でできる英語スピーキング勉強法をお伝えしてきました。

英会話は、留学のような海外長期滞在をしなくても、「国内で」「独学で」上達することが可能です。

ですが、実際には多くの英語学習者が、英語のリーディングはできても、スピーキングは苦手としています。

そこで、本記事では、英語学習者の方々に知っておいて頂きたい英語スピーキング勉強法、「通訳メソッド」をご紹介します。

通訳訓練法を一般学習者向けにアレンジした、独学でできる英会話上達法です。

勉強法の具体的な手順やコツなどをご紹介していきますので、ぜひご覧ください。

【英語スピーキング勉強法】7つのステップ

英語スピーキング勉強法についての記事です。独学でできる英会話上達法をご紹介します。

独学でできる英語スピーキング勉強法は、1つだけではありません。難易度が高いものもあります。

ここでは、一般の英語学習者でも、すぐにできる最も基本的なトレーニング法、「通訳メソッド」をご紹介します。

以下、「通訳メソッド」の具体的な勉強法の手順です。7つのステップに分かれています。

通訳メソッド:7つのステップ

①教材を用意:市販の英語教材(音源&日本語訳付き)の中から、読んで内容が理解できるレベルの英文を1つ用意する

②音源を聴く

③1の英文を精読:英文の文構造を把握する

④音読:内容が十分理解できたら、数回音読する

⑤シャドーイング:音源の「音まね」と「意味処理」が同時にできることを目標にする

⑥センテンスのクイックレスポンス:日本語訳と本文の英語を照らし合わせ、本文の英語をすべて覚える。日本語の文章を1文ずつ、瞬時に英語のセンテンスに変換できるようになるまで繰り返し練習する

⑦パラフレージング:どのような内容であったかを思い出しながら、その内容を「英語で」「自分の言葉で」第三者に説明するかのように話す

この通りにやるだけで結構です。

とはいえ、これだけでは圧倒的に説明が不十分ですので、各ステップについて補足解説をしていきます。

独学での英会話上達法:各ステップの解説

英語スピーキング勉強法についての記事です。独学でできる英会話上達法をご紹介します。

「通訳メソッド」は、1人でできる英語スピーキング上達法です。

以下、その各ステップを解説いたします。

ステップ1:教材を用意

実際にスピーキング勉強法を始める前に、市販の英語教材をご用意ください。ご自宅にあるもので結構です。

以下、3つの条件が揃っているものであれば、基本的には問題ありません。

①音声が付いている
②英文スクリプトがある
③英文スクリプトの日本語訳がある

イメージがわきにくいので、市販英語教材の具体例をご紹介します。

TOEIC800点以上の人で、仕事が理由で英語を勉強している人であれば、例えばこちらの世界基準のビジネス英会話などは通訳メソッドの教材として適しています。

音声あり、英文スクリプトあり、日本語訳ありで、教材として申し分ありません。

TOEICの点数がもう少し低い場合ですと、これより少し簡単な教材が良いと思いますが、教材イメージとしては参考になりますのでご確認ください。

Amazonで教材のサンプルページを閲覧することができます。

ステップ2:音源を聴く

教材を決めたところで学習開始です。まず、いちど音源を聞いてみましょう。

この時点で内容がわからなくても、絶対に気にしないでください。

音声を確認する程度の軽い意味合いですので、わからなくても何も問題ありません。

ステップ3:英文を精読

音声の英文を精読しましょう。チェックポイントは読んで理解できる英文かどうかです。

単語や文法で理解できないところが無いことを必ず確認してください。

知らない単語があれば、その場で覚え、文構造が取れなければ、日本語訳と照らし合わせ、時間をかけて読み取りましょう。

「読んで理解できる英文かどうか」はとても重要で、読んでも理解することが出来ない教材は、スピーキングの独学用教材としては使用できないとお考えください。

単語や文法が難しく、文構造を把握できない場合には、もう少し難易度が低い教材を使って勉強することをお勧めします。

全く恥ずかしいことではありませんので、ご自身の現時点でのレベルに合った教材で英会話の勉強をしていきましょう。

ステップ4:音読

ステップ5のシャドーイングに入るまえに、何度か英文を音読してみましょう。

シャドーイングと交互に行っても結構です。

ステップ5:シャドーイング

シャドーイングは、非常にメジャーなトレーニングですので、実際にやったことがある方も多いかと思います。

「シャドーイング」とは、英語の音声を流し、それを聞きながら、1~2語遅れて復唱するトレーニングです。

シャドーイングのやり方を、非常に簡単にですが、例文を使ってご説明します。

シャドーイング

①John is thinking about moving to Kyotoという音声が流れる
②John isと聞こえたら、すぐに自分もJohn isと復唱する
③音声がすべて流れ終わるまで、1~2語遅れて、その音声を追いかける

「1~2語遅れて復唱」と書きましたが、場合によっては3~4語くらい遅れても問題ありません。

シャドーイングは、単に音マネをするだけにならないよう注意が必要です。

音マネをしつつ、聞こえてくる音声の意味も理解しながらのシャドーイング(音マネ+意味処理)ができるようになることを目標にしてください。

音マネと意味処理を同時に行うシャドーイングで、コンテンツシャドーイングなどと呼ばれるものです。

音マネと意味処理が同時にできているな、という段階に達すれば、その音源のシャドーイングは合格と考えていただいて結構です。

シャドーイングについては、こちらの記事もぜひ参考になさってください。

ステップ6:センテンスのクイックレスポンス

ここは本当につらいステップなのですが、パラフレージングとともにとても重要です。

「センテンスのクイックレスポンス」とは、日本語全訳を見ながら、すべての文章を瞬時に英語に変換するトレーニングです。

①英文スクリプトと日本語訳を照らし合わせる
②日本語訳を見て、1文ずつ英文をそのまま覚えていく
③日本語訳だけを見て、スクリプトの英文をスラスラ言えるまで続ける

日本の英語教育は、その多くが大学受験を目標にするもので、英文読解がメインです。

「英文を読んでその内容を理解する」ことが大学受験では問われます。

990点満点のTOEICも同じで、リスニングが加わるものの、読んだ英文、聴いた英文の内容理解が問われるだけです。

方向性でいうと「英語から日本語」で、主にインプット力が試される試験だと言えます。

しかし、スピーキングのようなアウトプットでは、他人が書いた、または話した英語を理解する力(インプット)というより、自分自身の知識を駆使して何とか英語を生み出す力(アウトプット)が問われます。

日本の英語教育で言うと、英文読解より、英作文のほうがアウトプットに近いものになります。

センテンスのクイックレスポンスは「瞬間英作文の大量版」だと考えると、わかりやすいかと思います。

英文を生み出す(アウトプット)練習とともに、知っている英語の量を爆発的に増やすことも重要な目的です。

つらいステップですが、がんばりましょう。

ステップ7:パラフレージング

最も基本的な英語スピーキング勉強法、「通訳メソッド」の最終ステップがパラフレージングです。

「パラフレージング」とは、文字どおり「言い換え」のことです。

これまでの6つのステップを経て、最初に聴いた英語がどのような内容であったかは、確実に頭の中に入っているはずです。

ステップ7のパラフレージングでは、今回のストーリーを、どなたか第三者に説明するつもりで英語で話してみてください。

難しければ、日本語全訳を見ながらでも構いません。

「パラフレージング」を行う際の注意点ですが、1つ前のステップ「センテンスのクイックレスポンス」で覚えた原文の英文をまるまる話すことは、避けてください。

全文言い換えるのは不可能ですし、その必要もありません。ですが、少なくとも一部は自分の言葉に言い換えてください。

原文の内容にもよりますが、最初は、3割くらい言い換えることを目標にし、その後慣れてきたら、5割6割言い換えることを目標にしましょう。

パラフレージングは難易度が高いので、さらに深堀りして解説していきます。

「パラフレージング」は英語中上級者スピーキング上達のカギ

英語スピーキング勉強法についての記事です。独学でできる英会話上達法をご紹介します。

パラフレージングは、非常に効果的な英語スピーキング勉強法です。

ですが、この言い換えが英語上級者にとっても、なかなか難しいのです。

「原文のストーリーを、自分の言葉に言い換えて英語で話す」という練習法は、たとえ英語上級者の方々でも、始めのうちは大きく戸惑います。

そこで、言い換えの練習がなかなか上手くできない場合の対処法、練習をする際のヒントをお伝えします。

「リプロセシング」「リライティング」というトレーニングです。

自分の言葉に言い換えができないという方は、こちらを参考にして言い換え練習をしてみてください。

リプロセシング

まずは、リプロセシングから解説します。

具体的にどういった言い換え練習法なのかを見ていきましょう。

「リプロセシング」とは、言葉や文脈の真意をつかみ、瞬時に英語にするトレーニングです。

直訳にこだわらず、瞬間的に自分が英語にしやすい内容にストーリーを再加工します。

例を使って考えていきましょう。

あなたが、ある状況について「やってられない」と思っているとします。

その気持ちを英語でどう表現するのかを考えてみましょう。

これは、要するに「この状況に耐えられない」ということです。

ですので、

I can't stand this situation.

のように加工することができます。

具体例をもう1つ使って、考えてみましょう。

あなたが以下の内容を、英語で外国人に説明しなければならないとします。

日本の女性専用車両について

①日本の多くの路線は、女性専用車両を導入しています
②ですが、女性専用車両を取り入れているのは、日本だけではありません
③メキシコや台湾でも、女性専用車両を取り入れています

スピーキングなので、考えている時間はなく、その場で「瞬時に」反応しなくてはなりません。

①Many train lines in Japan have introduced women-only train cars.
②Japan isn't the only country that’s using women-only train cars.
③Mexico and Taiwan have also implemented women-only train cars.

※あえて代名詞は使っていません

このような感じで、テンポよく表現できれば問題なしです。

しかし、実際にはこういった表現は「パッと」「瞬時に」は出てこないものです。

「直訳せずに、同じ内容を表現する」ことが、スピーキングでは非常に重要です。

内容を嚙み砕いて、真意をつかみ英語にする力です。

では実際に、以下の例文を使って、リプロセシングを行ってみます。

①日本の多くの路線は、女性専用車両を導入しています
②ですが、女性専用車両を取り入れているのは、日本だけではありません
③メキシコや台湾でも、女性専用車両を取り入れています

2の「女性専用車両を取り入れているのは、日本だけではない」に関しては、「いくつか他の国も、女性専用車両を使い始めている」と言っても、文脈的にほぼ同じ内容になります。

また、3の「メキシコや台湾でも、女性専用車両を取り入れています」は、「メキシコや台湾でも、女性専用車両は使われています」としても、ほぼ同じことです。

ですので、

①Many train lines in Japan have introduced women-only train cars.
②Some other countries have also started to use women-only cars.
③Women-only cars are also used in Mexico and Taiwan.

このように直訳にこだわらず、言葉や文脈の真意をつかみ、瞬時に英語に変換しやすい言葉に加工して言い換えるトレーニングが「リプロセシング」です。

リライティング

言い換えのコツ、2つ目は「リライティング」です。

リライティングとは、文字通り「書き直すこと」で、条件をつけ、わざと文法や語順を変えながら、同じ内容を言い表すトレーニングです。

例えば、こんな文章があったとします。

スティーブ・ジョブズという男性が、2007年に最初のiPhoneを発表した

 

この文章を「主語が異なる3パターンの文章」で言い表してください。

まず、1つ目の文章です。主語は「iPhone」にします。

The first iPhone was announced by a man named Steve Jobs in 2007.

2つ目は、「男性」を主語にします。

A man named Steve Jobs announced the first iPhone in 2007.

3つ目は「it」から始まる文章にしてください。高校で習う、いわゆる「強調構文」で作ることができます

It was in 2007 that a man named Steve Jobs announced the first iPhone.

このように条件をつけ、語彙や使用文法を変えながら、「同じ内容を複数パターンで表現するトレーニング」がリライティングです。

これも、パラフレージング(言い換え)の練習をする際、大きなヒントになります。

リプロセシングやリライティングのトレーニングを積み、瞬時にできるレベルになれば、瞬発力が問われる実際の英会話でも、対応できるようになってきます。

英語スピーキング上達には、言い換えスキルの向上を目的とした、このようなトレーニングをぜひ取り入れてください。

言い換えがなぜ重要なのかについては、こちらの記事もぜひ参考になさってください。

英会話は独学「も」やらなければ上達しない

英語スピーキング勉強法についての記事です。独学でできる英会話上達法をご紹介します。

実際の英会話が「試合」だとしたら、本記事でご紹介した通訳メソッドは「自主トレ」にあたります。

試合だけでなく、英語スピーキングの自主トレ法を確立したいという方には、通訳メソッドはおすすめです。

実際の英会話をこなすことで、英語力は伸びる。これは事実です。

ですが、日本国内で暮らす私たち英語ノンネイティブがスピーキングを伸ばそうと思ったとき、英会話スクールへの通学やオンライン英会話だけでは、英会話の「量」が圧倒的に足りません。

また、質という観点からも、英会話だけでは不十分です。極端にアウトプットに偏った英語勉強法になってしまいます。

やはり、必要なものは覚え(インプット)、スピーキング(アウトプット)の練習もこなすことが欠かせないのです。バランスの良いインプットとアウトプットの組み合わせが重要になってきます。

誰かと実際に英語で話す以外の要素も、スピーキング力を高めるためにはどうしても必要なので、英会話を上達させたいのであれば、独学も欠かせないのです。

英語スピーキングは勉強法が正しければ「国内で」「1人でも」上達する

「ネイティブと英会話をするだけでは伸びない」とお悩みの方は、本記事でご紹介した英語スピーキング勉強法に最低1年間は取り組んでみてください。

文法の基礎がしっかりできている人が、真剣にこの勉強法に取り組めば、スピーキングは着実に上達していきます。

たとえ国内での勉強でも、1人でも、英会話を上達させることは十分に可能です。

ぜひご紹介した勉強法を一度試してみてください。