連鎖関係代名詞は英語上級者や難関大を狙う受験生でも苦手とする人が多い文法です。
理屈がわかれば連鎖関係代名詞はとても簡単です。
ぜひ本記事をご覧ください。
目次
連鎖関係代名詞とは?SVの「挿入」や「割り込み」は正確な説明ではない
連鎖関係代名詞は名前だけだと分かりにくいので、まずはこちらの文章をご覧ください。
(私が彼の姉だと思った女性は彼の母だった)
水色の部分が連鎖関係代名詞節です。
この文章の場合、関係代名詞の直後が「S+V+V+C」という語順になっています。
このように関係代名詞の直後にS+V+V...の語順が続くものを連鎖関係代名詞節といいます(実際はそれだけではありませんが、今回は最も分かりにくい部分のみご説明します)。
Vの後に別のVが来るのは通常あり得ないことなので、苦手とする学習者が非常に多い文法項目です。
学校では関係代名詞の後ろに「I thoughtが挿入された」とか「I thoughtが割り込んだ」などと説明されます。
私もそのように習いました。大学受験の参考書にもそのように書いてあります。
ですが、よく考えればこの語順になるのは当然で、別にSVの挿入でも割り込みでもありません。
ちゃんと並んでるのに「割り込んだ」とか、連鎖関係代名詞節の説明を見るたびに「ひどい言い方だな」と思います。
連鎖関係代名詞節は日常会話でもニュース等でも当たり前のように使われていますので、ぜひ理屈を理解しておきましょう。
なぜ連鎖関係代名詞節が発生するのか?
SVの後に別のVが続く連鎖関係代名詞節が発生する条件や起こる現象は以下の通りです。
- that節を目的語に取れる動詞で起こる(think, believe, show, fear, hope等々)
- that節の中の主語(S')が先行詞になると「S+V+V'...」という語順になる
- that節を取れる動詞(think, believe, show, fear, hope等々)直後のthatは消える
先ほどの例文で考えてみましょう。
先行詞を「元の位置」に戻して考えてみよう
(私が彼の姉だと思った女性は彼の母だった)
まずthinkというthat節を取ることができる動詞のときに連鎖関係代名詞が発生しています。
水色の部分が連鎖関係代名詞節で、先行詞はthe womanです。
まずこの先行詞を元の位置に戻してみましょう。連鎖関係代名詞を理解するにはこの作業が欠かせません。
先行詞the womanを元の位置に戻すと次のような語順になります。
(私はその女性は彼の姉だと思った)
先行詞を元の位置に戻すと「S+V+S'+V'+C'」という語順になります。
このS'の位置にある名詞が先行詞になると連鎖関係代名詞節が発生します。
例えば、
このS+V+Oの文の、Oにあたるthe sportが先行詞としてトップにいくと、以下のようなO+S+Vの語順になります。
理屈はこれと全く同じです。英語においては語順は非常に重要で、
のような「S+V+S'+V'+C'」のS'にあたる語が先行詞としてトップに来た場合に、
という「S'+S+V+V'+C'」という語順になっているだけです。
先行詞S'の後ろは、もともと並んでいた順番どおりの語順になります。
簡単な例文で連鎖関係代名詞節を作ってみよう
次の2つの文章で下線部を先行詞にした関係代名詞節を作ってください(関係代名詞は省略可)。
- I play the sport.(私はそのスポーツをします)
- We go to the place by bus.(私たちはバスでその場所に行きます)
それぞれ次のようになるはずです。簡単に作れます。
- the sport I play(私がするスポーツ)
- the place we go to by bus(私たちがバスで行く場所)
先行詞の後の語順というのは「関係代名詞を作る前の文章から先行詞を抜いただけの語順」です。
これを踏まえ、次の文章の下線部を先行詞にした関係代名詞節を作ってください。
先行詞の後の語順は、関係代名詞を作る前のこの文章から先行詞を抜いた語順にするだけです。
thinkとisという2つの動詞が連続する語順になりますが、もともとの語順を考えれば当然の帰結です。
これが連鎖関係代名詞節と呼ばれるもので、SVの挿入でも割り込みでもありません。
ちなみに連鎖関係代名詞節の中のthinkの直後にthatを置くことはできません。必ずthatは消えます。
「主格の関係代名詞の省略」では説明不足
連鎖関係代名詞について「主格なのに省略できる関係代名詞」として説明している書籍や記事を見かけますが、この説明は十分とは言えません。
あくまで動詞の目的語であるthat節の中のS'が省略されているだけです。
SVを挿入や割り込みと捉えているからこのような説明になるのでしょうが、これまでの説明のとおり不十分です。
もちろんthatも連鎖関係代名詞で使える
連鎖関係代名詞において、先行詞直後の関係代名詞にはwhichだけでなくthatも使えます。
実際の会話でも頻繫に使われています。
実際に使われた以下の例文を参考にしてください。
連鎖関係代名詞節を例文で見てみよう
インタビューや会話の中で実際に使われた(話された)連鎖関係代名詞節を確認してみましょう。
One of the things research shows can make us happy is something as simple as what's called "time affluence".
(研究によると、私たちを幸せにするものの一つに、いわゆる『時間がたっぷりある』というごく単純なことがあります)
"One of the things research shows can make us happy"の部分が連鎖関係代名詞節です。
先行詞はthingsで、that節を取れるshowが使われています。
Parliament has just passed a law that it hopes will help to attract 354,000 foreign workers over the next five years.
(国会は、今後5年間で35万4000人の外国人労働者を引き付けるー助となることが期待される法案を可決した)
"a law that it hopes will help to attract 354,000 foreign workers over the next five years"が連鎖関係代名詞節です。
先行詞はa lawで、hopeというthat節を取れる動詞が使われています。関係代名詞のthatも普通に使われています。
連鎖関係代名詞節の訳し方
連鎖関係代名詞節の訳し方を3つの例で考えてみましょう。
- The woman who I thought was his sister(先行詞+S+V+V'+'C')
- the boy (who) I think is smart(先行詞+S+V+V'+'C')
- something (that) research shows can make us happy(先行詞+S+V+V'+O'+'C')
いずれも連鎖関係代名詞節です。
先行詞(黄色)は最後に訳し、最初のV(赤字)を最後から2番目に訳しましょう。
すると次のような訳になるはずです。
- 私が彼の姉だと思った女性
- 私が賢いと思う少年
- 私たちを幸せにすると研究が示すもの
連鎖関係代名詞節を苦手とする学習者は多いのですが、ゆっくり考えれば理解可能どころか、とても簡単です。
ぜひマスターしてください。