ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
TOEIC900点は「たいしたことない」のか？
「ネイティブ並み！」というのは明らかに過大評価です。
しかし、TOEIC900点は本当に大したことないのか？本記事をぜひご覧ください。
目次
「TOEIC900点はたいしたことない」と言われる理由
私はこれまで多くのTOEIC900点台の生徒さんと英語スピーキング強化のトレーニングをご一緒してきました。
「帰国子女ではなく海外留学経験もないのにTOEIC900点以上」という人に数百人単位でお会いし、かつ、マンツーマンで英語学習歴などをじっくり伺ってきました。
その経験から日本国内における「非帰国子女なのにTOEIC900点台取得者」の実情については詳しいほうだと言えると思います。
今回は「TOEIC900点は大したことないのかどうか」について、私なりの考えを書きたいと思います。
TOEIC900点が「大したことない」と言われる理由
「TOEIC900点なのに英語を話すことができないから大したことない」、「TOEIC900点以上持っているのに英語でのミーティングで全く発言ができず、しどろもどろになっている同僚がいた」という趣旨の話を直接聞いたことがあります。
要するに、英会話ができないからTOEIC900点は大したことない、ということなのでしょう。
それは確かにそうで、TOEIC900点取得者だからといって英語を流暢に話せるわけではありません。
TOEICは英語を「ある程度」読めて「ある程度」聞ける証明にはなりますが、それ以上の存在ではありません。TOEIC満点でも「英語が話せる」わけではありません。
そもそもTOEICは「英語が話せる話せない」を試すテストではないからです。
英語のスピーキング能力を知りたければ、VERSANTなどのスピーキングテストや、IELTSなどのスピーキングを含む試験のスコアを参考にすべきです。
TOEIC900点にできること＆できないこと
実際にTOEIC900点の人は何ができて、何ができないのか？
上述の通り、私は「非帰国子女で、留学経験も特にないが、日本国内で英語の勉強を頑張りTOEIC900点を取得した」方々と一緒に勉強する機会に恵まれてきました。
その経験から、非帰国子女のTOEIC900点台の英語学習者に「できること」と「できないこと」は、おおよそ次のようなものであると認識しています。
「できること」
- TOEICレベルの英文はスラスラ読める（リーディング）
- 仕事など自分の専門分野の英文の読解ができる（リーディング）
- 込み入った話でなければ外国人が英語で言っていることが大体わかる（リスニング）
- 英語でメールのやり取りができる（ライティング）
「できないこと」
- 英字新聞や洋書の正確な読解はできない（リーディング）
- ネイティブ同士の本気の会話は聞き取れない（リスニング）
- 英語のニュースやインタビューはほどんど聞き取れない（リスニング）
- ドラマや映画を字幕なしで楽しむことはできない（リスニング）
- 英語でメールのやり取りができるが、文章が自然な英語ではない（ライティング）
- 英語を流暢に話すことはできない（スピーキング）
- VERSANTを受験すると初回スコアは40～53点程度（スピーキング）
ある程度英語は読める、そして簡単なリスニングができます。
一方で、ナチュラルスピードの英語やネイティブ同士の会話は聞き取れずリスニング面で苦労しており、スピーキングはほどんど全員の方が苦手としているという印象です。
TOEIC900点のすごさ
では、TOEIC900点は大したことないのかというと全くそうではなく、私はTOEIC900点の「すごさ」を実感しています。
実際に生徒さんと接する中で特に感じるのは次の3点です。
- 正確な読解力
- 語彙力
- 地頭の良さ
正確な読解力
TOEICレベルの文章を読解する際、600点台や700点台の人と比べると900点台の人の読解力は正確無比です。500点台とは比較にならないでしょう。全く違います。
これまで1人1人と一緒に精読のトレーニングをしてきたので断言できますが、TOEIC900点をお持ちの方は簡単なビジネス文書レベルの英語なら極めて正確に読むことができます。
「読めるだけで話せるわけではない」という批判は、確かに現時点ではその通りなのですが、「読める」ことは今後スピーキングやリスニングを飛躍的にレベルアップさせる前提条件となるものです。
読解力こそが英語4技能の中で基礎をなすものであり、リスニングやスピーキングは読解力があって初めて上達します。
そういった意味で、TOEIC900点を持っている方がしかるべき期間、英語の勉強を継続すれば、リスニングやスピーキング力を伸ばせる可能性は非常に高いと言えます。
語彙力
TOEICのスコアが高いので当然かもしれませんが、900点台の方々は語彙力が豊富です。500点台や600点台の学習者の方々と比較すると全く違うレベルにあります。
英語を学ぶ過程において、語彙力の強化には特に長い時間がかかり苦労します。すぐにTOEIC900点レベルの語彙力を習得できるわけではありません。
長い時間をかけて獲得してきた豊富な語彙力は今後の英語力強化の前提を成すものであり、今後も強化し続ける必要はあるものの極めて有利な点です。
非帰国子女でTOEIC900点台は頭が良い証拠
「地頭が良い」というのがTOEIC900点台の方々と接していて一番強く実感することです。
日本で中学1年から英語学習をスタートし、日本の英語教育の弊害をまともに受けながらTOEIC900点が取れるのです。
特別な英語学習環境に身を置くことなく、中学から英語の勉強をスタートしてTOEIC900点以上に到達するというのは頭が良くないと絶対に不可能です。持って生まれた学習能力が高いのです。
実際TOEIC900点台の方々は非常に高い学習能力をお持ちの人が多く、当然英語以外でも優れた才能をお持ちなので、それゆえ高学歴・高収入の方が圧倒的に多いように感じます。
TOEIC900点台からの勉強法についてはぜひこちらの記事もご覧になってください。
