ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
中学生で英検2級に合格した生徒の事例をご紹介します。
中学生で英検2級に合格はすごいことです。
ですが、私が教えているお子さん達の中では、突出してすごいわけではありません。
中学から英語の勉強をはじめ、中2で英検2級に合格した子もいます。
ポイントは、今回ご紹介する生徒さんが「もともとは英語が苦手だった」という点です。
当初はどのような生徒だったのか、英検2級に合格するまでの勉強法は特別だったのか等をご紹介します。
ぜひご覧ください。
目次
「英語が苦手」だった子が「中学生で英検2級合格」だからすごい
まずどのような生徒さんであったかをご紹介します。
名前は、仮にAくんとします。Aくんは、中学3年の終わりに英検2級に合格しました。
- 中2で入塾
- 中学入試を経た中高一貫校生
- 定期考査の英語の点数は平均点を下回っていた
- 英語の読み方が少し雑だった
- 勉強の進め方がよくわかっていなかった
- 本人に成績を向上させたい意志があった
- 素直な性格
Aくん自身に「英語を何とかしなければ」という問題意識があったこと、そして性格の良さがポイントです。
次に重要なのが、中2で入塾という点です。
残りは、それほど重要ではありません。
最初から英語ができたら塾は探さないので、当時の成績は参考程度です。
うちの中高生向けのHPなど、本当に「とりあえず作った」程度の代物で、駅前の小さなビルに入居している怪しげな無名英語塾に、Aくんを入塾させて下さった親御さんには大変感謝しています。
ただ、塾は無名でも、私には自信も経験もあり、最初にAくんと会って話を聞いて、「これはいけるでしょ」と感じたことを覚えています。
中高一貫校には中学生で英検2級合格はかなりいる
首都圏の中高一貫校では、「中学生で英検2級」は、それほど珍しい存在ではありません。
中堅以上の偏差値の学校で中学3年生になれば、英検2級を取得済みの生徒は、かなりいるはずです。
私が直接見ている生徒たちで、中堅以上の中高一貫校生は、中1のうちに英検3級、中2で準2級、中3で英検2級取得というのが一般的です。
中3で英検2級取得に至らない場合でも、2級の一次試験には合格します。少なくともその水準には達します。
英語に対する苦手意識が強い生徒ですと、中学のうちに2級合格は難しく、準2級取得にとどまります。
いずれも「理解力が比較的高く、勉強に対する意識も高く、きちんと努力している生徒である」というのが大前提です。
ですので、今回ご紹介するAくんの「中学生で英検2級」ケースは、中高一貫校の中でも、できるグループには入ります。
しかし、突出してすごいわけではありません。
Aくんの事例に価値があるのは、英語が苦手だったのに、中学生のうちに英検2級に合格し、科目としての英語に対する苦手意識も克服したという点です。
英検2級合格を目標にした勉強法ではない
Aくんが「どのような勉強をしてきたか」ですが、英検2級合格を目指した特別な勉強はしませんでした。
確かに直前に英検対策は少しやりましたが、あくまで対策程度です。
中高一貫校で英語が苦手な生徒が来た場合、非常に大まかな順序として、次のような4つのステップで学習を進めます。
- 学校の定期考査の点数を上げる
- ある程度上がったら定期考査対策はやめ、地力をつける勉強(特に読解力)に集中する
- 最低限の読解力がついてきたと判断したら、リスニングも並行して鍛え、使用教材のレベルも徐々に上げていく
- 日本の高校生が触れないようなレベルの教材も使用して、4技能すべてを鍛える
学校の点数が全く上がらないと本人の自信につながりません。
ですので、まずは定期考査で、まずまず良い点数が取れるよう対策します。
英語の基本は正確無比な読解力
とはいえ、学校のテスト対策だけをやっていても、真の実力はつきません。
定期テストの範囲は限られており、何度か反復をすれば、ある程度の点数が取れてしまいます。
ですが、これは本当の実力とは言えないものです。
点数が上がってきたら、学校のテスト対策ではなく次のステップに行き、読解力を根本的に鍛えます。
この読解力をつけるステップが重要です。
正確に英文を読む力が、後々になって他の技能を強化する際の土台になるためです。
リーディングの基礎を欠く子は、ライティングやスピーキングなどその他の技能も伸びません。
中高一貫校で英語が苦手だと感じている子は、ほぼ例外なく読解力の基礎を欠いており、品詞や文型の区別ができない子たちです。
本人は英文を読めているつもりでも、こちらに言わせれば読めていません。
この後にどこまで伸びるかは本人の性格とやる気が重要
読解力がある程度のレベルに達すれば、リスニングも並行して鍛えます。
そして、教材レベルも上げていきます。
ここまでは、中高一貫校生なら大体どんな子でも行けますが、この後は本人次第です。
やる気がある子なら、この後もどんどん伸びていきます。
Aくんは、中学2年で入会してから、4つのステップの1からスタートし、現在は3の段階にいます。
「中学生で英検2級合格」に至ったポイント
上述のとおり、中学生で英検2級合格は確かにすごいけれども、頑張れば可能です。
とはいえ、英検2級は、英語が苦手な子が中学生のうちに取得できるほど甘くはありません。
入塾時点で英語が苦手だったAくんが、中学生のうちに英検2級に合格したポイントは何だったのか。
私は、次の5つにあると考えています。
本人の性格の良さ
本人の性格は、本当に重要です。
能力も重要ですが、性格はもっと大事だと、教育業界で働いたことのある人なら誰でも共感してくれると思います。
自分の考えや意見を持ちつつ、他人の言うことに耳を傾けることができることは、立派な才能です。
Aくんは、こちらの言うことを受け入れ、真面目に取り組んでくれました。
本人のやる気
性格に関連しますが、「英語の成績を何とかしたい」という問題意識が、本人にあったことも非常に重要です。
親御さんだけが成績や偏差値を心配し、本人はまったくやる気がない状態では、Aくんの事例のように上手くは伸びません。
親御さんが非常に前のめりになり、本人は成績に無関心というケースはあります。
しかし、そういったケースが学習にとって理想的な状態でないことは明らかでしょう。
学習時間を確保し、勉強するのは本人ですので、「英語の成績を少しは良くしたい」という本人の意思は重要です。
親御さんの危機察知能力&行動力
中2の時点で塾探しをされた親御さんの行動力も、間違いなく重要です。
仮にあの時点から現在まで英語塾に通わなかった場合、Aくんの現在の成績は、控えめに言ってもかなり良くないものになっていたでしょう。
英語の成績が危機的だと判断し、すぐに塾探しに動いた親御さんの危機察知能力と行動力が、Aくんが中学生のうちに英検2級に合格することができた大きな要因です。
中2で塾通い
危機察知能力と少し重複しますが、中学2年という比較的早い時期に、Aくんが英語塾に通い始めたことも勝因の1つです。
これが高3では手遅れです。
塾の費用など出せない状況であればもちろん理解できますが、そうでない場合、早めに塾を探したほうがよいと思います。
中高一貫校は6年間あるため、多少成績が悪くても、「中1や中2で塾通いまでさせなくて良い」と考えるのが普通です。
ですが、どの科目であろうと、中1から中3で学ぶ内容が大学受験の基礎になることは言うまでもありません。
英語だけでなく、苦手科目が大学受験の主要科目である場合、大学受験の結果に影響します。
Aくんの親御さんが早めに動き、中学2年から塾に通い始めたことは、やはり重要なポイントだったと言えるでしょう。
個別指導
難関とされる私立中高一貫校に通う子でも、”This book is interesting.”を「これは面白い本です」と雑に訳す生徒はたくさんいます。
また、「byやwithの品詞は何か」という質問に対し、答えられない生徒もたくさんいます。
SVCとSVOの違いがわかっていない子も、数多く見てきました。
進学校は学習進度が非常に速いので、頭の中に知識が定着する前に、どんどん先に進んでいきます。
超進学校に通うお子さんが、「fromってどういう意味だっけ?」と言うのを聞き、「このままでは危ない」と感じて英語塾に通わせた危機察知能力が高いお母さんを私は知っています。
こういったケースは、明らかに英語が苦手な子です。
英語が苦手な子には、苦手な子のための丁寧な説明が必要になります。
英語が苦手な生徒さんが英語塾を探すなら、集団授業より個別指導の塾がお勧めです。
「この子は何がわかっていないのか」を発見することから、すべては始まります。
これは集団授業では不可能で、個別指導で時間をかけて丁寧に見てもらったほうが、長期的にはプラスです。
英検2級に合格で満足してはいけないが順調
英検2級で英語の勉強は終わりではありません。
次は英検準1級やTEAPなどでの高得点、そして大学受験が待っています。
留学する子であれば、TOEFLなどが必要になります。
とはいえ、中学生で英検2級が取れていれば、まずまず順調だと言えるでしょう。
本人の資質や親御さんの行動力によって、Aくんの成績は持ち直しました。
今後も伸びていくことは間違いありません。
まとめ
Aくんが中学生のうちに英検2級に合格したポイント、まとめです。
- 本人の性格の良さ
- 本人のやる気
- 親御さんの危機察知能力&行動力
- 早い時期に塾探し(Aくんの場合は中2)
- 個別指導
ENGLISH LAB.では、英検に限らず、中高一貫校生の英語対策について、いつでもご相談を受け付けています。
中高一貫校に入ったものの、英語の成績が思うように伸びない子は、数えきれないほど多くいます。
たとえそうなっても、自分の成績を向上させたいと願う子が、早い時期から英語を鍛え直せば、余程のことがない限り上手くいきます。
多少成績が良くなくても心配する必要はないので、英語が苦手な生徒さんは、早めに情報収集をしてみてください。