ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
TOEICのスコアは上がった。読める英文も増えた。
それなのに、いざ話そうとすると言葉がスムーズに出てこない。いつも同じような単調な表現しか使えない。
こうした悩みを抱えている方は、決して少なくないはずです。私自身も、かつてはそうでした。
知識としては知っているはずの文法や語彙が、スピーキングの場面では全くと言っていいほど「使える」状態にない。
この壁を乗り越えるためのトレーニングとして、効果的だと感じているものの1つが、今回ご紹介する「リライティング」という練習法です。
一見すると地味な練習ですが、英語を話す際の「思考の柔軟性」を鍛える、優れたトレーニングです。
今回は、このリライティングとは何か、そしてなぜそれがスピーキング力向上に繋がるのか、についてご紹介します。
ぜひご覧ください。
目次
そもそも「リライティング」とは何か?

まず、「リライティング」という言葉の定義から始めましょう。
私が言うリライティングは、「1つの英文について、内容は一切変えずに、文の構造だけを自在に組み替える練習」です。
ここでのポイントは、3つあります。
・情報は足さない
・情報は削らない
・個人的な解釈も加えない
つまり、元の英文が持つ情報を「過不足なく」、異なる文の形で表現し直す。
やっていることは、純粋な「構造操作」のトレーニングです。
例えば、ここにこんな文があったとします。
Online banking was adopted by many companies a few years ago.
(数年前、多くの企業でオンラインバンキングが採用された。)
この文が伝えている事実は、「多くの企業が」「数年前に」「オンラインバンキングを採用した」という、ただ1つのことです。
リライティングでは、この事実を保ったまま、文の形を変えていきます。
多くの方が真っ先に思いつくのは、能動態と受動態の書き換えではないでしょうか。
Many companies adopted online banking a few years ago.
これは最も基本的なリライティングで、英語学習者であれば、どなたでもできるはずです。
主語を Online banking から Many companies に変えましたが、伝えている内容は同じです。
リライティングはこれだけでは終わらず、ここからが、思考の柔軟性を鍛える本番です。
「制限」をかけることで、英語の思考を柔軟にする

どうすればもっと、1つの事実を複数の言い回しで表現することができるのか。
私が生徒さんにお伝えしているのは、自分に「制限」を課すことで、思考の柔軟性を鍛える、という手法です。
例えば、「この文を、無理やりにでも、”It”から始めてみよう」と考えてみます。
高校で習った、いわゆる「強調構文」になりますが、以下のようには言えそうです。
It was a few years ago that online banking was adopted by many companies.
(多くの企業でオンラインバンキングが採用されたのは、数年前のことだった。)
It was online banking that many companies adopted a few years ago.
(数年前に多くの企業が採用したのは、オンラインバンキングだった。)
厳密に言えば、どこを強調するかでニュアンスは少し変わります。
ですが、伝えている客観的な事実は同じです。
会話の中では、こうした些細なニュアンスの違いよりも、「言葉に詰まらずに話し続ける」ことの方が重要な場面がほとんどです。
さらに、「"What"から始めてみよう」という制限を課してみます。
Online banking was what many companies adopted a few years ago.
What was adopted a few years ago was online banking.
次のように、somethingを使った表現も大丈夫そうです。
Online banking was something that many companies adopted a few years ago.
ここまでで、1つの英文について、事実を変えずに6つの言い換えを作ることができました。
少し複雑に見えるかもしれませんが、やっていることは同じです。
元の文のパーツを分解し、異なる文法ルールに則って再構築しているだけ。
こうしたトレーニングを繰り返すことで、頭の中にある文法知識が、単なる「知っている知識」から「自在に使えるツール」へと変わっていく感覚が得られるはずです。
なぜ英語スピーキングが伸びないのか?リライティングが効く理由

ここまで読んで、「なぜこんな回りくどい練習をする必要があるんだ?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
回り道に思えるこういった地味な練習こそが、スピーキング力向上の近道だと私は考えています。
リライティングをすることで、「話しきる力」と「思考の柔軟性」が身につきます。
英会話の最中、私たちは常に頭の中で文章を組み立てています。
しかし、最初に思い描いた通りの文章が、いつもスムーズに口から出てくるとは限りません。
途中で単語を忘れたり、文の構造が分からなくなったりして、言葉に詰まってしまう。
多くの人が経験することだと思います。
こんなとき、1つの表現方法しか知らないと、そこで会話が止まってしまいます。
しかし、リライティングのトレーニングを積んでいると、頭の中に複数の「表現の選択肢」がストックされている状態になります。
「Aの形で言えなければ、Bの形で言おう」
「主語をこれにしたら詰まったから、別の主語で言い直そう」
このように、瞬間的に別のルートを探し出し、とにかく最後まで「話しきる」ことができるようになります。
これは、スピーキングにおける極めて重要なスキルです。
学校英語では、1つの問題に対して正解は1つ、という場面がほとんどでした。TOEICにしても、正解は1つです。
その影響で、私たちは無意識のうちに「唯一の正しい表現」を探そうとしてしまいがちです。
しかし、実際のコミュニケーションに、絶対的な正解はありません。
大切なのは、多少不格好でも、文法的に少し遠回りでも、自分の言いたいことを相手に伝えきることです。
リライティングは、この「正解は一つではない」という感覚を体に染み込ませるためのトレーニングです。
もう一つ例で見る|英語を話しきるためのリライティング思考

別の例文で考えてみましょう。
The company postponed the launch because the system was not ready.
(システムが準備できていなかったので、その会社は発売を延期した。)
この文も、まずは主語を変えてみることから始められます。
The reason the company postponed the launch was that the system was not ready.
「延期した理由」を主語にしてみました。これも立派なリライティングです。
次に、先ほどのように「What」から始めてみます。
What caused the company to postpone the launch was the fact that the system was not ready.
cause という動詞を使ってみました。
元の文にはない単語ですが、事実を変えずに構造を操作するための一つのツールとして、こういう引き出しも持っておくと便利です。
このように、1つの事実に対して、複数の視点から光を当て、様々な形で表現してみる。
このプロセスが、英語の運用能力を根底から引き上げてくれます。
まとめ:TOEIC高得点でも話せない壁を越えるために

今回は、私がスピーキング力を鍛える上で非常に重要だと考えている「リライティング」というトレーニングについて、私自身の考えを整理しながら、お伝えしてきました。
最後に、今日のポイントをまとめておきます。
・リライティングとは、内容(情報)を変えずに、文の構造だけを組み替える練習。
・自分に「主語を変える」「特定の単語で始める」といった制限を課すことで、思考の柔軟性が鍛えられる。
・この練習の目的は、「唯一の正解」を探すのではなく、複数の表現パターンを身につけ、どんな状況でも「話しきる力」を養うこと。
もし、知識はあるはずなのに話せない、という壁を感じているのであれば、ぜひこのリライティングを試してみてください。
最初は難しく感じるかもしれませんが、続けていくうちに、頭の中の英語回路が少しずつ組み変わっていくのを実感できるはずです。
こうした地道なトレーニングこそが、本物の英語運用能力を築き上げるのだと、私は考えています。
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