ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
英検1級とTOEIC990点はどちらが難しいのか。
単純な結論を出しにくい難問です。
英検1級とTOEICでは、試験内容や試される能力が異なるためです。
「英検1級のほうが上」「TOEIC満点のほうが上」と断言することは不可能で、断言すれば嘘になってしまいます。
英検1級とTOEIC満点であれば、一般の学習者が目指すべきなのは英検1級だと私は考えています。
本記事では、「英検1級とTOEIC990点、どちらが難しいのか」を中心に、2つの試験を比較していきたいと思います。
目次
英検1級合格とTOEIC990点満点はどちらが難しいか
英検1級とTOEICとは大きく異なる試験であるため、一概に「どちらが難しい」とは言い切れません。
ですが、「英検1級にギリギリ合格か、余裕で合格か」という条件を付けて、英検1級とTOEICを比較するのであれば、あまり難しくありません。
英検1級合格にも「ギリギリ合格」と「余裕で合格」とがあります。
「余裕で英検1級に合格」ならTOEIC満点より上というのが私の結論です。
英検1級に余裕で合格とTOEIC990点(満点)ならどっちが上か
英検1級に「余裕で合格」は、英語4技能において非常に高いレベルが要求されます。
「余裕で合格」かどうかは、英検のCSEスコアを見るとわかります。
「英検CSEスコア」とは、ユニバーサルなスコア尺度CSE (Common Scale for English) を英検の各級で表記したものです。「英検CSEスコア」であなたの英語力を客観的に評価します。
「英検1級合格」と言っても、CSEスコアは2630~3400点と幅があります。
この数字の高さが、余裕で合格かどうかがの判断基準です。
CSEスコアの判断基準ですが、3000点なら「余裕で合格」と言える点数です。
合格点の2630点より300点以上も高く、文句なしの英語上級者です。
英検1級ギリギリ合格とTOEIC990点(満点)ならどっちが上か
英検1級にギリギリ合格とTOEIC満点なら、TOEIC満点のほうが達成難易度は上でしょう。
TOEIC満点は、確かに数問ミスしても取れます。
ですが、それでも、英検1級ギリギリ合格よりは、TOEIC990点のほうが取得は難しいだろう、というのが率直な感想です。
ミスをしない、200問のテストで1, 2問までしか間違えないというのは、やはり達成難易度は高いと言えます。
なぜ英検1級とTOEIC990点満点の比較は難しいのか
英検1級とTOEIC満点の比較論が難しいのは、TOEICと英検1級の試験内容に大きな違いがあるためです。
英検1級の特徴
英検1級の試験内容のうち、TOEICと大きく異なる特徴は以下の3点です。
②高い語彙力が要求される
③試験時間に比較的余裕がある
①と②が特に重要です。
英語のスピーキングとライティング、この2つの重要なアウトプットスキルが無ければ、英検1級には合格できません。
また、英検1級の単語帳を見ればわかりますが、語彙の難しさでは英検1級のほうがTOEICより圧倒的に上です。
単語を覚えきるだけでも相当な労力が必要になります。
逆に、英検1級の試験時間はTOEICと比べれば、余裕があります。
TOEICの特徴
TOEICの特徴は、英検1級の特徴と必然的に逆になります。
②高い語彙力が要求されない(大学1年生でも高得点を取れる)
③試験時間に余裕がない
スピーキングとライティングがないのが、TOEICの非常に残念な点です。
もちろん、TOEICにもスピーキングとライティング試験は存在します。
しかし、残念ながら社会的にまったく浸透していません。
例えば、私の生徒さん達は、皆さん英語資格試験についての知識が豊富です。
英検やTOEICだけでなく、IELTSやTOEFL、通訳案内士など、多くの資格試験についての情報を持っています。
そんな人達でもTOEICのスピーキングとライティング試験を受けたことがある人は、ごくごく少数です。
少なくとも、「社会人なら誰もが知っているTOEIC」とは、990点満点のTOEIC(リスニングとリーディングのみ)でしょう。
大学1年生でも高得点は狙えるのがTOEIC
また、英検1級と比べれば、TOEICに高い語彙力は不要です。
大学受験の延長で受験しても、高得点を取ることができてしまいます。
事実、私は昔、大学受験を終えたばかりの頃、友人に勧められてTOEICを受験しました。
大学受験の語彙力そのままに、試験の概要だけを数日で押さえ、ほとんどノリだけで受験したところ、結果は945点でした。
リーディングセクションに関しては、ほぼ満点で、受験した私のほうが驚いてしまいました。
逆に、英検1級は大学受験を終えたばかりの学生が、勢いで合格できる試験ではありません。
TOEIC945点を取ったのとほぼ同時期に、英検1級の過去問を見る機会がありました。
その際、単語があまりに難しく、「現時点での英検1級合格は絶対に不可能」だと確信し、単語を必死になって覚えた記憶があります。
英検1級の語彙問題は、TOEICとはレベルが違います。単語を覚えきるまでは、悪戦苦闘の日々でした。
【英検1級とTOEIC満点】どちらを目指すべきか
英検1級とTOEIC満点の2択であれば、迷うことなく、英検1級を目指すことをおすすめします。
順序としては、TOEIC900点前後をコンスタントに取れるようになってから、英検1級合格を目指すのがおすすめです。
TOEICのスコアは社会人として求められる機会があるため、まずはTOEIC900点くらいを目指します。
その後に、スピーキングやライティング、ハイレベルな語彙力をつけるために、英検1級の勉強を始めるべきでしょう。
英検1級に合格した後にTOEICを改めて受験すると、930点以上は自然に取れるようになっているはずです。
それ以降に、TOEIC990点を目指して再度TOEICを目指すことは、あまり意味がないと思います。「TOEICにだけ強い人」になってしまう危険があるためです。
そうではなく、英語の4技能の中でも特にスピーキングを鍛えるため、超上級者を目指す勉強法を始めるべき頃だと思います。
英検1級やTOEIC990点はゴールではない
英検1級やTOEICハイスコアを取得しても、多くの英語学習者は、そこから伸び悩みます。
そんな英語上級者に向けて書いた記事もぜひご覧ください。
英検1級に合格しようと、TOEIC満点を取ろうと、「自分の英語力は全然まだまだ」だと感じるはずです。
そういった方は、まず学習法を確立すべきだと、いつも私は自分の生徒さんたちに伝えています。
中でも、スピーキングを1人でトレーニングする方法を確立してください。
スピーキングを鍛えるのに必須の考え方については、こちらの記事をぜひ参考になさってください。
1人でもスピーキングは鍛えられます。
上級者がしかるべき学習を地道に続ければ、こちらの記事の生徒さんのようにスピーキング力も自然とついていきます。
英語上級者になればなるほど、学習に関する情報が少なくなっていきます。
自分の学習法を確立して、さらに英語力を伸ばしていきましょう。
日本国内での学習でも英語力は伸び続けます。