ENGLISH LAB.の糸賀です。
私はこれまで10年ほど、社会人の生徒さんのTOEIC点数アップに関わってきました。
「TOEIC500点から700点まで上げるのに、どれくらいの勉強時間が必要なのか気になる」
「おすすめの参考書や勉強方法が知りたい」
そんな方のために、TOEIC500点から700点まで上げるのに必要な勉強時間(期間)、参考書、勉強方法などを本記事ではご紹介します。
500点からのスコアアップは、問題なく独学で達成できます。
ぜひご覧ください。
目次
【TOEIC500点から700点】勉強時間(期間)
必要な勉強時間は、もちろん人によって異なります。
ここで想定している学習者は、次のような方です。
- 社会人(なので当然忙しい)
- 現在のTOEICスコアは500点
- 大学受験経験者
- 1日に取れる勉強時間は2時間、休日3時間
お忙しい社会人の方が、本腰を入れてTOEIC700点を目指した場合を考えてみましょう。
何か月かかるか
本気でやれば、半年ほどで500点から700点へのスコアアップは十分に達成可能だと思います。
早い人ですと、3ヶ月で達成可能です。
実際、これまでに私自身がご一緒してきた生徒さんの中にも、3ヶ月以内で達成した方々はいます。
繰り返しになりますが、本気でやればという条件付きです。
人によっては、1年近くかかる場合もあるでしょうが、あまり気にすることはありません。
1年経っても達成できない場合
1日2〜3時間は勉強しているのに、1年以上経ってもスコアが500点から全く上がらないという方は、勉強方法が間違っている可能性が高いです。
やるべき勉強をやっていない(語彙力をつけない等)場合、スコアは上がりません。
ご自身が当てはまる場合には、ぜひ本記事でご紹介する方法を参考にし、学習方法を見直してみてください。
また、こちらの記事もぜひご覧ください。
【TOEIC500点から700点へ】おすすめ参考書(強化ポイント別)
TOEIC関連書籍は、Amazonでも大型書店でも非常に種類が多く、どれを買うべきか迷う方が多いはずです。
ここでは、強化すべきポイント別におすすめの参考書をご紹介します。
語彙
キクタンシリーズがおすすめです。
今も実際に自分の生徒さんには、キクタンを使っていただいています。
現在500点の方であれば、キクタン600からスタートし、終わったら800に進んでください。
最終的には、キクタン990まで進んでほしいのですが、まずはキクタン600と800の2冊を完ぺきに仕上げましょう。
また、初学者向けとしてキクタン500もありますが、TOEIC500点をお持ちであったり同等のレベルなのであれば、キクタン500は必要ないと思います。
どうしても基礎が不安な方は、大型書店などで実際にキクタン500を手に取り、学習し直す必要があるかどうかを確認してみてください。
文法・語法
文法問題集は、でる1000問がおすすめです。
こちらも実際に生徒さんに使っていただいています。
もし、「Part5が極端に苦手」、「でる1000問を解いてみたけど、解説を読んでも全然理解できない」、「リーディングの点数がリスニングと比べて極端に低く、中学英文法も怪しい場合」という場合には、基礎レベルに戻ることをおすすめします。
全く恥ずかしいことではありませんので、迷わず基礎固めに集中してください。
基礎固めの教材ですが、でる1000問の基礎編にあたる問題集、「はじめの400問」がおすすめです。
基本的な英文法から丁寧に復習したい場合には、「英語のハノン(初級)」や「総合英語Evergreen」など様々な書籍があります。
お好きなものを選んでください。
基礎レベルの英文法に戻った場合、確かにTOEICの点数が伸びるまで時間がかかるかもしれません。
ですが、中学英文法レベルの基礎をほぼ完全に忘れている状態で先に進むことのほうが危険です。
基礎が固まっていないと、上級者になったときにとても困ります。
基礎はずっと重要ですので、焦らず進めていきましょう。
リーディング(Part7)
長文のPart7に特化した対策本は、特に用意して頂く必要はありません。
対策本ではなく、TOEIC公式問題集をご購入ください。
公式問題集があれば十分です。
リスニング
リスニングも公式問題集があれば十分です。
公式問題集を使ってPart3とPart4の問題をシャドーイングしましょう。
Part3とPart4対策の問題集、Part2対策の問題集をそれぞれ買いたいという方には、こちらの教材がおすすめです。
TOEIC L&Rテスト Part2 応答問題 でる600問
参考書は必要以上に持たなくて大丈夫です。
強化ポイントごとに、必要なものだけ揃えてください。
TOEIC500点から700点までの勉強方法:「学習の順番」が大事
参考書よりも、正しい方向性で勉強を進めることのほうが重要です。
特にTOEIC500点からの勉強ですと、学習の順番が鍵になってきます。
いきなり長文(Part7)からやらない
語彙、文法、リスニング、リーディングなどやるべきことは多くありますが、Part7の長文問題から始めないようにしてください。
TOEIC500点の学習者が700点、またはそれ以上を目指す場合、まず優先すべきなのは単語と文法です。
まずは「単語」と「文法」
私は、自身が運営するENGLISH LAB.で、社会人の生徒さんだけでなく、中学生や高校生にも英語を教えています。
中学生の頃を思い出してください。
中学入学後、いきなり長文問題を中心に英語学習を進めたという方はいないはずです。
基礎知識が入っていない段階なので、まずは文法を中心に授業は進んでいき、その中で単語も覚えていったはずです。
文法と基礎レベルの単語が入っていない状態で長文の勉強をしても、実力がつかず、必ず空回りします。
大学受験を目指す高校生に英語を教える場合も同じです。
まずは単語・熟語といった語彙力強化と、大学受験レベルの英文法・語法を徹底的にインプットさせます。
ある程度それらが進んでから長文に入らないと、学習効率が劇的に下がってしまうためです。
社会人も大学受験生も同じ英語学習者
これはTOEIC500点の実力をお持ちだとはいえ、社会人の皆さんでも同じです。
まずは語彙と文法の2つを優先してください。
キクタン600レベルの単語帳を頭の中に叩き込み、英単語を見た瞬間に意味が思い浮かぶ状態にまで持っていきます。
そして、でる1000問のような文法・語法問題集も、選択肢のうち「なぜこれが正解なのか」を人に説明できるレベルにまで高めることが重要です。
長文は、それらがある程度進んでから始めましょう。
そうすることで、長文の学習効率も高まり、結果的に短期間で500点から700点へのスコアアップが可能になります。
単語帳を「鬼反復」
単語帳の使い方には注意が必要です。
単語帳を最初から最後まで1回読んで終わり、ではなく、必ず何周もしてください。
キクタンであれば、1冊のなかに1120語の単語と熟語が収録されています。
これらを最初から最後まで必死で覚える努力をして、それをもって1周とカウントします。
1周で終わっていい人はいません。必ずキクタン600と800を5周以上はするようにしてください。
TOEIC500点の英語学習者の方であれば、キクタン600と800をそれぞれ10~15周して完ぺきにするだけで、100点以上はスコアアップすると思います。
東大をはじめとした難関国公立、早慶レベルに現役で合格する高校生には、「単語帳は15周しよう」と伝えています。
大学受験の英語も、TOEICも、語彙力が重要だという点において違いはありません。
語彙力を徹底強化しましょう。
文法問題集も「鬼反復」
単語帳と同じく、でる1000問のような文法問題集も、1周やって終わりではなく、5周以上は反復してください。
10周以上が理想ですが、5周程度であっても、「なぜその選択肢が正解で、他は不正解なのか」を他人に説明することができる状態には近づいていきます。
2~3周したくらいだと、やらないよりはもちろん良いものの、効果は薄くなります。
語彙力を強化し、でる1000問のような文法・語法問題集を5周以上こなせば、TOEICのPart5だけでなく、Part7長文やリスニングの点数アップにもつながるでしょう。
シャドーイング
リスニングのうち、やや長めのPart3とPart4は、公式問題集の音源をシャドーイングして鍛えます。
公式問題集以外の「Part3&4 鬼の変速リスニング」のような問題集を使う場合も同様です。
シャドーイングの具体的なやり方については、こちらの記事を参考になさってください。
シャドーイングに取り組む際にも注意点があります。
1つの音源を「1回シャドーイングして終わり」ではなく、1つの音源につき30回シャドーイングすることを目標にしてください。
また、シャドーイングは「1日で30回を一気にこなす」やり方ではなく、「1日5回×6回=計30回」のやり方がおすすめです。
こちらのほうが音や様々な音声変化、単語、フレーズまでもが記憶に残りやすいはずです。
ぜひ試してみてください。
Part2は「ディクテーション→オーバーラッピング」
TOEICのリスニングのうち、「Part2が苦手」という人もかなり多くいらっしゃいます。
Part2はPart3や4と異なり、音声が短い(流れる語数が少ない)ため、1語1語を正確に聞き取る力が要求されます。
Part2の対策をしたい方には、ディクテーションとオーバーラッピングがおすすめです。
具体的には、次のように進めてください。
【ディクテーションとは】
まずは、ディクテーションです。
①Part2の問題音声を1問につき3回流します。
例えば、次のような問題音声を自分で流します(声が流れるのでご注意ください)。
②答えを選んで終わりではなく、問題音声と3つの選択肢の全単語をノートなどに書き取ります。
③音声を3回流し終わったら、答えだけでなく、問題集に必ず掲載されている次のような英文スクリプトを確認します。
(A) The draft payment is overdue.
(B) I’ll request a new number.
(C) In meeting room 3B.
④英文スクリプトと見比べて、自分が書き取ったものが正しいかどうかを確認しましょう。
ディクテーションをすることで、自分が聞き取れていない箇所が明白になります。
たとえ知っている単語だったとしても、自分が持っている発音のイメージと実際の発音との間に違いがあると、うまく書き取れません。
ディクテーションは、その違いを明確にし、認識するためのトレーニングです。
簡単な単語でも、代名詞・前置詞・助動詞・be動詞などは聞き取りにくいはずです(上の問題音声ではwillなど)。
リンキングなどの音声変化が起きている箇所も、正しく書き取るのは難しいでしょう。
ディクテーションをして、まずは自分が何を聞き取れていないのかをはっきりさせます。
ディクテーションが終わったPart2の問題音声は、何度もオーバーラッピングをしましょう。
【オーバーラッピングとは】
英文スクリプトを見ながら音声を流し、音声と完全に重なるように、発音も何もかも真似するつもりで発声します。
同じタイミングで発話を開始し、同じタイミングで終えること、発音を完コピすることを意識しましょう。
上のPart2音声ですと、ナレーターが、”Where…”と言い始めるタイミングで、同じように”Where…”と発音を開始してください。
1つの音声につき、最低5回はオーバーラッピングを繰り返しましょう。
そして、問題数をたくさんこなしてください。
TOEIC500点から700点までの勉強順序まとめ
長くなってしまいましたが、まとめると勉強の順番は以下のとおりです。
- 単語帳・文法問題集を反復
- 単語帳・文法問題集の反復を続けながら、リスニング対策も始める
- 単語帳・文法問題集を最低3周してからPart7の問題を解く
一応3は書きましたが、500点から700点を目指す場合、1と2、特に最初は1を優先してください。
すべての単語・熟語について、意味が瞬時に思い浮かぶレベルにまで高めます。
文法問題集も何度も周回して、初学者に説明できるくらいのレベルにまで仕上げることを目指しましょう。
これだけでもTOEICの点数は上がるはずです。
TOEIC500点から700点は短期間での到達を目指す
TOEICの勉強を始めるにあたって、具体的にいつまでにTOEIC700点に到達するのか、期間を決めることをおすすめします。
「〇月までに」と区切りをつけることで、メリハリが効いた学習につながるはずです。
期間を決めず、「そのうちに」と考えていると、学習時間を確保する努力をしなくなるものです。
目標を決め、そこから逆算して「1日〇時間くらいのペースで進めていく」というスタイルのほうが、学習効率も高まります。
たとえ達成できなかったとしても、メリハリが効いた学習を続けたことは、決して無駄にはなりません。
【失敗しないために】メンタル面が重要
TOEICのスコアアップを目指して独学で勉強し始めたものの、挫折する人は数多くいます。
独学で失敗しないためには、心のあり方、メンタル面が非常に重要です。
ここでは、私が考える、TOEIC700点を独学で達成するうえで大切な姿勢、考え方をご紹介します。
無理な学習目標を立てない
忙しい社会人の方が、「いきなり毎日3~4時間」、「隙間時間の全てを英語に使う」といったような、「いきなり全力」型の学習目標は立てないほうが良いです。
続かないケースが大半です。
勉強を開始したばかりの時期は、1日1時間取れば十分なのではないでしょうか。30分でも良いです。
慣れてきたら、徐々に、無理のない範囲で30分ずつ増やしていきましょう。
そもそも仕事で忙しい社会人が、仕事以外に英語を勉強しようと考え、実行に移すことだけでも貴いことだと思います。
「挫折しない」「これなら続く」という学習ペース作りを目指してください。
健康が一番
無理な学習目標と重なりますが、健康を損なってしまっては何にもなりません。
「今日は無理だ」という時は、休息を取り、リフレッシュした状態で勉強を再開してください。
思うようにいかない時に自分を責めない
1日の学習目標を達成できなかったときに、自分を責めないことも重要です。
「そんな時もある」と考え、自分を責めず、淡々と勉強していってください。
気負いすぎず、できる範囲で進めていきましょう。
短期間で目標スコアに到達できなくても落ち込まない
「3ヶ月でTOEIC500点から700点まで上げる」という目標を立て、実際に達成できる人もいれば、達成できない人もいます。
達成できなかったとしても、その間の勉強が無駄になるわけではありません。
今度は「半年で700点まで上げる」に、目標を変更してしまってください。
そのほうが、3ヶ月で700点に到達した人よりも、英語の基礎固めに多くの時間を費やせるので、結果的にラッキーかもしれません。
「3ヶ月で700点到達」でも、「8ヶ月で700点到達」でも、すごさはあまり変わらないとお考えください。
どちらも素晴らしいことです。気にせず淡々と作業をこなすようにスコアを上げていきましょう。
TOEIC500点から700点ならコーチングスクールに行かなくても達成可能
TOEIC500点から700点を目指す場合、いきなりコーチングスクールに大金を払うより、まずは独学で挑戦することをお勧めします。
お金の問題が大きいですが、独学のほうが「英語学習をいかに上手く進めていくか」について、自分で考える良い機会になります。
コーチングスクールにいきなり通うと、どうしても「自分は客」という意識になってしまい、受け身の姿勢になりやすいのが人間というものです。
ですが、独学でもコーチングスクールに通っても、結局のところ勉強をするのは自分自身です。
まずは独学で、様々な情報を集めたうえで、主体的に学習計画を立てて実行してみることをおすすめします。
よほど急いでいない限り、一度独学で挑戦してみてください。
実際にやってみて、「どうしても無理」だと感じたらコーチングスクールに通えばよいかと思います。
まとめ
本記事のまとめです。
- 早くて3ヶ月、半年くらい、1年近くかかる場合もある
- 1年経っても達成できない場合、勉強法の見直しが必要
- 語彙と文法が特に重要
- 中学英文法に自信がなければ、迷わずそこからやり直す
- リスニングPart3とPart4はシャドーイングで強化
- 「学習の順番」が大事で、長文から始めない
- Part2は、ディクテーション→オーバーラッピングで強化
- TOEIC700点に到達するまでの期間を決めてメリハリをつける
- 学習を継続するためにはメンタル面が重要
- 無理な目標を立てず、順調にいかなくても自分を責めない
- まずは独学で進める、コーチングスクールに行くのは最後の手段
社会人の方ですと、お仕事だけでも十分に忙しいはずです。
その中でTOEICに取り組もうとしているだけでも、素晴らしいことだと思います。
勉強の途中、上手くいかない場面に数多く直面するはずですが、「そういうものだ」と割りきってがんばってください。