ENGLISH LAB.代表の糸賀です。
私は、「スピーキングの瞬発力を高めたい」という生徒さんたちと、日々トレーニングをしています。
英語の知識を十分に持っているはずなのに、いざ会話となると、言葉が詰まってしまう。
英語を話すとなると、瞬時に言葉が出てこない。
こういったスピーキングの瞬発力についての悩みは、とても多く、英語を学ぶ大多数の人に共通のものです。
本記事では、英語スピーキングの瞬発力を向上させる方法や、瞬発力を高めるために気をつけるべきポイントなどをご紹介します。
ぜひご覧ください。
目次
英語スピーキングの「瞬発力」とは
「英語の瞬発力」とは、頭に浮かんだ内容を、すぐに英語で言葉にして発する力のことです。
英語を話すとき、瞬時に言葉が出てこないと焦りますよね。
メールなどで英語を「書く」場合、瞬発力は問われません。時間に余裕があり、ゆっくり英文を作成することができます。
ですが、スピーキングはそうはいきません、瞬時に言葉を発せなければ、会話として成立しなくなります。
正確で膨大な英語の知識を持っていても、それらの知識を瞬時にまとめあげ、英会話の中で運用できるようにするためには、継続的なトレーニングが必要です。
スピーキングの瞬発力を鍛えるための具体的な方法
英語スピーキングの瞬発力を上げるための、具体的なトレーニングや考え方をご紹介します。
単に英語を話す回数を増やすだけでは、十分とは言えません。
語学全般について言えることですが、トレーニングが効果的で、かつ、それを継続しなければ、スピーキングの瞬発力は向上しません。
スピーキングの際、瞬発力がなくて困っているという方は、以下の内容をチェック項目として利用してください。
①独り言英会話で毎日英語を話す
②インプットも強化する
③膨大な量の瞬間英作文を日々こなす
④シャドーイングで瞬発力を鍛える
⑤ChatGPTで毎日英会話
では、それぞれ見ていきましょう。
独り言英会話で毎日英語を話す
話し相手がいなくても、英語を話すことはできます。
独り言で結構ですので、毎日英語を話していることは、瞬発力を高めるためには欠かせません。
独り言英会話を通じて、単に「知っている」英語の知識を、少しずつ「使える」知識に変換していくことが可能になります。
勉強法というより習慣や心構えになりますが、この「毎日話す」ということは、最重要と言っていいほど大切です。
毎日話すことによって、英語を話すことに対する心理的な抵抗を取り除くことにもつながります。
瞬発力を高めるために、独り言英会話で、毎日英語を話しましょう。
インプットも強化する
とにかくたくさん英語を話していれば良い(アウトプットしていれば良い)というわけではありません。
海外に何年も住んでいるのに、話すのが苦手という方もいらっしゃいます。
アウトプット(英語を話す)の機会は山ほどあるものの、良質で大量のインプット(英語を覚える)ができていないことが原因だと考えられます。
アウトプットを行いつつ、良質で膨大なインプット作業(知っている英語の量を増やす作業)も、同時に行っていく必要があります。
これも、一人で行うことが可能です。
膨大な量の瞬間英作文を日々こなす
語学学習者であれば、一度は瞬間英作文に取り組んだことはあるはずです。
日本語を介して英語にするので、抵抗がある人もいるかもしれません。
ですが、年単位で毎日続けていけば、これはこれで大きな効果があります。私も経験上、効果を実感しています。
また、瞬間英作文をすることによって、使える語彙が増えることもメリットです。
さらに、文法知識も磨かれ、無意識で使えるレベルにまで高まっていきます。
瞬間英作文は、まさに「知っている」英語を、「使える」英語にしてくれるトレーニング法の1つです。瞬発力を磨いてくれます。
ぜひ年単位で継続していきましょう。
シャドーイングで瞬発力を鍛える
シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、そのまま後を追いかけるように発話する練習法です。
シャドーイングが瞬発力に効果的である理由ですが、ネイティブのスピードに合わせて話すことで、英語のリズムやスピードに慣れることができるため、です。
例えば、インタビュー音声や、ニュースの音声を使ってシャドーイングをすれば、日常会話よりも速いペースで練習できるため、瞬発力が自然と鍛えられます。
ここまで、瞬発力を鍛えるために、以下4つの要素をご紹介してきました。
①独り言英会話で毎日英語を話す
②膨大なインプット
③瞬間英作文
④シャドーイング
これら全ての要素が入ったスピーキングの自主トレーニング法を、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
私が自分のスクールで、実際に生徒さんに最も基本的なスピーキング自主トレ法」としてご紹介している勉強法、「通訳メソッド」です。
ぜひご覧ください。
ChatGPTで毎日英会話
ChatGPTは、英会話の練習をするのに特に有効です。
非常に簡単なフレーズ、例えば、「How’s it going?」「Can I get…?」「What do you think about…?」など、基本フレーズから会話を始めます。
その後、例えば、毎日5分間で結構ですので、自分の仕事や趣味について、思い浮かんだ内容を即興で話し、会話の幅を広げていきます。
ChatGPTとの英会話レッスンを、1週間や2週間続けただけでは意味はありません。
ですが、これを1年、2年と継続していけば、話は別です。実際の会話での反応速度は、確実に上がります。
オンライン英会話のように、話し相手は不要です。早朝でも深夜でも大丈夫です。何度間違っても構いません。
自分が考えたテーマやトピックについて、頭に浮かんだことを即座に英語で話す練習を繰り返しましょう。
そして、英語の「知っている」知識を、「使える」知識へと変換してください。
英語を「すぐに口に出す」感覚が磨かれるはずです。
スピーキングの瞬発力を高めるためのポイント
ここでは、英語スピーキングの瞬発力を高める勉強に取り組む際、意識していただきたいスピーキングのポイントについてご紹介します。
瞬発力を高めるためのヒントになれば幸いです。
短文&単文を連発する
英語を話す際、一つの文章を長くする必要はありません。
一つの文章を長く話すことを、聞き手も求めていないはずです。
長文で話す代わりに、短文を連発することを意識してください。
例えば、外国人にお寿司について、説明するとします。
次のように、長文で話す必要はありません。
Sushi is a Japanese dish made of vinegared rice, often served with raw fish, seafood, or vegetables, and sometimes wrapped in seaweed.
長文ではなく、以下のように3つの短文で同じ内容を再現したほうが、多くの英語学習者にとって話しやすいはずです。
Sushi is a Japanese dish made of vinegared rice.
It is often served with raw fish, seafood, or vegetables.
Sometimes, it is wrapped in seaweed.
また、複文ではなく、接続詞なしの単文で話すことも、おすすめです。
複文で話すと、以下のように一つの文章が長くなってしまいます。
Sushi is a traditional Japanese dish that is made with vinegared rice, and it often includes raw fish or seafood, although it can also have vegetables.
While it is commonly served with soy sauce and wasabi, some people also enjoy it with pickled ginger.
単文のみで同じ内容を再現すると、以下のようになります。
こちらのほうが、話しやすいですし、相手にもきちんと伝わります。
Sushi is a traditional Japanese dish.
It's made with vinegared rice, and it often includes raw fish or seafood.
It can also have vegetables.
It is commonly served with soy sauce and wasabi.
However, some people also enjoy it with pickled ginger.
無理に一文を長くしようとすると、ミスが起こりやすくなります。
一つの文章をコンパクトに簡潔にすることで、スピーキングの瞬発力アップにつながるはずです。
特に動詞は簡単な単語を選択する
中学レベルの簡単な動詞を使って話す、というのも、瞬発力を高めるポイントです。
次の文章のように、難しい動詞を使おうとするのは避けるべきです。
Sushi is a traditional Japanese dish that is prepared with vinegared rice. It frequently contains raw fish or seafood, although it may also feature vegetables.
Since sushi is renowned around the world, it appears in many different varieties depending on the ingredients and style of preparation.
While it is typically accompanied by soy sauce and wasabi, some people also savor it with pickled ginger.
次のように中学レベルの簡単な動詞を使って、ほぼ同じ内容を相手に伝えることは可能です。
Sushi is a traditional Japanese dish. It is made with vinegared rice. It often has raw fish or seafood, although it can also have vegetables.
Sushi is famous around the world, so it has many different varieties depending on the ingredients and style of preparation.
It is usually eaten with soy sauce and wasabi, but some people also eat it with pickled ginger.
中学で習うような英語の基本動詞は、非常に汎用性がとても高く、幅広い場面で使うことができます。
これを英会話で使わない手はありません。
中学レベルの簡単な動詞を使って話すというのも、英語スピーキングの瞬発力を高める際の重要なポイントです。
一定のペースで話そうとしない
会話中に考える時間が欲しいとき、日本語でも「そうですね...」といって、時間を確保するはずです。
それは、英語でも同じで、ゆっくり話すときと、一気に話すときとの波が生じるのは、とても自然なことです。
外国語を話すとなると、一気に流暢に話さないといけないと焦ってしまうことがあります。
そうではなく、日本語を話すときと同じように、堂々としていれば大丈夫です。
ゆっくり考え、思い浮かんだことを「知っている範囲の英語で話す」という態度で何も問題ありません。
一定のペースではなく、時間を稼ぎながら話すことをぜひ意識してください。
自然に話せるようになるために必要な基礎力
瞬発力を高めるためには、ただ英語を話す練習をするだけでは不十分、というのは、上述のとおりです。
英語学習のなかでも最も基本となる力となる、語彙や文法をしっかりと固めておく必要があります。
ただ、語彙や文法、ここでは、瞬発力を高めるために必要な、最も基礎力を効果的に強化する方法を紹介します。
語彙は「クイックレスポンス」できるように
単語や熟語、フレーズを覚える際には、必ず「クイックレスポンス」できるようにしましょう。
クイックレスポンスとは、単語やフレーズを見た瞬間に、意味や使用方法が頭に浮かび、反射的に応答できる能力(またはその力を鍛えるトレーニング)のことを指します。
特に会話やスピーキングのような、瞬発力が欠かせない場面で役に立つスキルです。瞬間英作文の単語版のようなものになります。
日本語の意味を見て、5秒考えてようやく答えられる英単語は、瞬発力が問われる会話の場面では使えません。
クイックレスポンスは、日本語を見てそれに対応する英単語、英単語を見てそれに対応する日本語訳を、1秒で言えるようにするというのが基本です。
瞬発力を高めるためにも、単語を覚える際には、全単語についてクイックレスポンスできるよう、鍛えていきましょう。
文法知識を「横断」できるようにする
語彙と同じように、文法も覚えることが目的ではなく、使えるようにすることが目的です。
「使うこと」を意識しながら、学習に取り組みましょう。
理解しただけで終わらず、文法項目を自在に横断できるようにしておくことが目標です。
「文法項目を自在に横断する」とは何か、具体例を使って見ていきましょう。
例えば、「蓄音機は、19世紀にエジソンという男性によって発明された」という内容について、英語で説明するとします。
The phonograph was invented by a man named Edison in the 19th century.
ここで終わりではなく、別のパターンで同じ内容を表現することができないかを、考えてみましょう。
すると、ニュアンスは若干異なるものの、異なる文法項目を使っても、以下のように、ほぼ同じ内容を伝えることができます。
A man named Edison invented the phonograph in the 19th century.
It was a man named Edison who invented the phonograph in the 19th century.
It was in the 19th century that a man named Edison invented the phonograph.
さらに、Edisonを主語にし、関係代名詞を使って、次のように変換することも可能です。
Edison, who lived in the 19th century, is the man who invented the phonograph.
「文法知識を横断する」とは、このように1つの内容について、複数のパターンで伝えることができることです。
日頃から、こういったトレーニングに意識して取り組んでいると、英語スピーキングの瞬発力を高めるのに役立ちます。
1つの内容について、1つの表現しか思い浮かばないより、瞬時に複数の表現を思いつく人のほうが、英語話者としては有利です。
文法知識を、「自在に使える」よう、日頃からトレーニングを重ねてください。
こちらの記事も、ぜひ参考になさってください。
まとめ
本記事のまとめです。
・スピーキングの瞬発力を高めるためには、毎日独り言英会話をする、膨大なインプットと瞬間英作文をこなす、シャドーイングを継続することが効果的
・ChatGPTを使った英会話練習も、いつでも取り組める効果的な方法
・語彙や文法の基礎力を固め、短文を連発する、簡単な動詞を使うなどの工夫も、スムーズに話すためには効果的
・語彙や文法など基礎力を固める
・語彙はクイックレスポンス、文法知識は自在に横断できるよう、日頃からトレーニングを行う
スピーキングの瞬発力は、国内での学習であっても伸ばすことは可能です。
こちらの記事は、国内のみの学習でスピーキング力を伸ばした生徒さんの事例です。ぜひご覧ください。
スピーキングの瞬発力は、年単位で根気強くトレーニングを重ね続けることが、何より重要です。
特効薬も魔法もありません。
本記事でご紹介したような、瞬発力を強化するためのコツを意識し、学習を進めていきましょう。
成果はほんの少しずつしか現れませんが、淡々と勉強を続けていきましょう。